#校歌や合唱祭の歌詞や動画をホームページに掲載できる?学校の中で著作物が自由に無料で使用できる範囲をまとめてみました(著作権法 第二章/第三節/第五款 「著作権の制限」)

ホームページもダメ、CD/DVDの配布もダメ、どうしたらいいの?

先の投稿で、著作権法第35条の「学校その他の教育機関における複製」に関する投稿記事を掲載しました。これは授業での著作物使用において基本的に著作権許諾がいりませんよ、ですがガイドラインも定められて必要以上の複製だったり、購入前提のものの複製だったりはダメですよ…という記事でした。

授業の中だけならこれで良いのですが、運動会(体育祭)や文化祭、合唱コンクールやクラブ活動など多岐に渡る学校生活の中では、様々なところに著作権が絡んできます。

例えば、ICT担当が勤務校の複数の校長先生から依頼をされたのは、運動会でのダンスの動画や合唱祭の動画といったものをホームページに掲載して保護者にも見せてあげたいというものでした。

某 校長先生

ホームページに合唱コンクールの動画を掲載してください!

ICT担当

JASRAC(日本音楽著作権協会)に著作権許諾と使用料の支払いが必要になりますが…

色々調べたりしてみると、結局ホームページへの掲載は合唱祭どころか、学校によっては校歌でさえも費用をかけずに行う掲載が難しいことが分かって校長先生と一緒にイラっときたりしたICT担当でした。(著作権許諾と使用料を払えば可能です)

では、「著作物が自由に無料使用できる」範囲はどういうところまでなのでしょうか?

以下は、著作権法の目次ですが、第二章/第三節/第五款 「著作権の制限」で示される、「著作物が自由に使用できる」と思われる部分、特に学校教育において、有用と思われる個所をまとめてみました。ICT担当はシステム開発を行っていましたので、プログラムやデータベースの著作権以外の所は今まであまり見ていませんでしたが、自身の勉強のつもりでまとめましたので、よろしかったらご覧ください。

著作権法
昭和四十五年五月六日法律第四十八号
著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の全部を改正する。
目次
第一章 総則
 第一節 通則 (第一条-第五条)
 第二節 適用範囲 (第六条-第九条の二)
第二章 著作者の権利
 第一節 著作物 (第十条-第十三条)
 第二節 著作者 (第十四条-第十六条)
 第三節 権利の内容
  第一款 総則 (第十七条)
  第二款 著作者人格権 (第十八条-第二十条)
  第三款 著作権に含まれる権利の種類 (第二十一条-第二十八条)
  第四款 映画の著作物の著作権の所属 (第二十九条)
  第五款 著作権の制限 (第三十条-第五十条)
 第四節 保護期間 (第五十一条-第五十八条)
 第五節 著作者人格権の一身専属性等 (第五十九条・第六十条)
 第六節 著作権の譲渡及び消滅 (第六十一条・第六十二条)
 第七節 権利の行使 (第六十三条-第六十六条)
 第八節 裁定による著作物の利用 (第六十七条-第七十条)
 第九節 補償金等 (第七十一条-第七十四条)
 第十節 登録 (第七十五条-第七十八条の二)
第三章 出版権 (第七十九条-第八十八条)
第四章 著作隣接権
 第一節 総則 (第八十九条・第九十条)
 第二節 実演家の権利 (第九十条の二-第九十五条の三)
 第三節 レコード制作者の権利 (第九十六条-第九十七条の三)
 第四節 放送事業者の権利 (第九十八条-第百条)
 第五節 有線放送事業者の権利 (第百条の二-第百条の五)
 第六節 保護期間 (第百一条)
 第七節 実演家人格権の一身専属性等 (第百一条の二・第百一条の三)
 第八節 権利の制限、譲渡及び行使等並びに登録 (第百二条-第百四条)
 第五章 私的録音録画補償金 (第百四条の二-第百四条の十)
 第六章 紛争処理 (第百五条-第百十一条)
 第七章 権利侵害 (第百十二条-第百十八条)
 第八章 罰則 (第百十九条-第百二十四条)
附 則

自由に著作物が利用できる範囲(学校に関連する部分)

第二章/第三節/第五款 「著作権の制限」で学校の中で関連すると思われる「自由に著作物が利用できる」範囲をまとめました。著作権法の三十条からおよそ三十九条くらいまでがそれにあたります。

第三十条 (私的使用のための複製)

これは学校に限りませんが、一応あげておきます。

様々な著作物は、個人的な利用つまり家庭内での私的使用が認められています。複製、翻訳、編曲、変形、翻案などが可能です。しかしコピープロテクトを無効化しての複製や、著作権を侵害していると思われるアップロードコンテンツを、侵害の事実を知りながらダウンロード複製することはNGです。

第三十一条(図書館等における複製)

政令で定める「図書館等」においては、
 ①図書館利用者の調査研究目的(一人につき一部)
 ②図書館資料の保存
 ③他の図書館への資料提供
という3つの場合には、その営利を目的としない事業として、図書、記録その他の資料の複製を行う事ができます。

第三十二条(引用)

どんな著作物でも、自分の著作の中で引用として利用することは許されています。ただし自己の著作物の中で、自己の論拠展開をすすめるために必要と思われる最小限の引用であることが常識的に求められ、引用が大部分を占めるものだったり引用のみだったりという使われ方はこれにあたりません。また引用を行った場合は、引用元を明記することが求められています。国や地方公共団体が作成した広報資料などは説明の材料として新聞雑誌などの刊行物に転載が認められていますが、転載を禁じる明記が有る場合はこの限りではありません。

第三十三条の二(教科用拡大図書等の作成のための複製等)

視覚障害、発達障害その他の障害により教科書などの利用が困難と思われる児童生徒のために文字や図形などを拡大コピーする事、あるいは当該児童生徒が必要と思われる方式で複製することは許されています。

第三十五条(学校その他の教育機関における複製等)

学校その他の教育機関では先生および児童生徒が授業あるいはその準備の中で使用する著作物の複製を認めています。ただし必要以上の部数であったり継続的な複製であったり、全生徒が購入することを前提に作成されたワークやドリルの複製などは許されていません。著作物の複製を前提に、上演・演奏・上映もしくは口述による利用の場合、当該事業を同時に受けるものに対して公衆送信(インターネットなどでの送信など)が許されています。ただし合唱祭などの演目を学校ホームページで動画掲載するなどはこれにあたりません。(JASRACへの著作権料支払いが必要になります)校歌であっても音楽著作権で保護されている場合があり、その場合はJASRACへの支払いが必要になることがありますので要注意です。

参考記事
 # 学校の授業だから何でもコピーが許される?(複製…やっていい事、悪い事) 

第三十六条(試験問題としての複製等)

営利を目的としない入学試験その他人の学識技能に関する試験などでは、当該試験などの問題として複製し、又は公衆送信を行うことが許されています。営利を目的に行う場合は著作権者に対する補償金が必要になります。

第三十七条(視覚障害者等のための複製等)

視覚障害者のために点字により複製することは許されています。またパソコンなどを使用して記録媒体などでの利用、公衆送信を行うことが出来ます。ただし既に出版権を受けた視覚著作物の複製などはこれに当てはまりません。

第三十七条の二(聴覚障害者等のための複製等)

聴覚障害者のための福祉に関する事業を行うもので、聴覚著作物(聴覚及びその他の知覚によりその表現が認識される方式)として公衆に提供、提示されているものに関して、文字にすること或いは聴覚障害者が必要とする方式で複製し、公衆送信をすることは認められています。ただし既に出版権を受けた者により当該聴覚障害者が使用するために必要な方式による提供、提示が行われている場合はこれに当てはまりません。

第三十八条(営利を目的としない上演等)

営利を目的とせず対価を受けない場合は、上演、演奏、上映、または口述する事が許されています。入場料を徴収したり実演者などに報酬が発生する場合などはこれにあたりません。
また営利目的ではなく聴衆または観衆から料金を受けない場合は有線放送、自動公衆送信などが可能です。これら第三十八条の条件を満たしている場合でも、合唱祭などの歌唱、演奏を録音、録画しDVDなどで配布する場合など日本音楽著作権協会(JASRAC)への許諾が必要になります。詳しくは

https://www.jasrac.or.jp/info/school/index.html

をご覧ください。

リンク先の内容

  • 文化祭・学園祭で演奏会や演劇などをする場合
  • 学校内の行事をCD・DVDなどに録音・録画して配付する場合
  • 楽譜などをコピーする場合
  • 学校のホームページで、音楽を流す、歌詞を掲載する場合

第三十九条(時事問題に関する論説の転載等)

新聞紙や雑誌に掲載された政治上、経済上又は社会上の時事問題に関する論説は、利用禁止の表示が無い場合において、他の新聞紙や雑誌への転載、又は放送・有線放送・自動公衆送信などが許されています。

まとめ(免責事項)

学校だよりやその他の発行物に関しては、注意はいれど引用という形で著作物の使用が可能です。しかし児童生徒が行ったパフォーマンス(演奏やダンスや歌唱など)を、実演の事後に動画で配信したり、DVDなどで複製配布をしようとすると、必ず著作権が絡んできます。もちろん相応の著作権料や保証金を支払えばよいのだと思いますが、末端の学校でそういう費用を捻出できる学校は少なく、涙を飲んでいる学校も少なくはないと思います。

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、様々な所で話題になりますが、基本的には著作権法35条の授業の範囲しか認めていないようです。校歌など特例もありますが、著作権を有する音楽が絡むものの配布や放送には必ず許諾を求めています。好むと好まざるとに関わらず一度目を通しておいた方が良いと思います。

一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)

また、本投稿記事は著作権法を出来るだけ平易にまとめることに主眼を置いたため、説明不足になっている箇所があるかもしれません。厳密に著作権法を調べたい方は、以下から「著作権法」をご覧になることをお勧めします。

著作権法