# どうして教員の仕事はブラックと言われるのか?

放置されてきた業務の仕組み化(システム化)

この記事を読んでいる教職員の方には大変申し訳ないのだが,学生の頃に私塾で中学生を教えていた時から,また社会人になって一般企業で社会人教育を受けたり逆に新入社員を教育する立場になったりした時から,「学校の先生の仕事なんてどんなに楽な仕事なんだろう」とずっと思ってきた。

そう,この年になって実際に公立小中学校の先生がたと一緒に仕事をするまでは…。

民間企業の大変さは当たり前だが「利潤追求の大変さ」である。社会の中での競争に勝ち続けることが求められる大変さはあるのだが,利潤追求の効率性を求める活動において効率性が向上し続ける限り働くものにとっても還元されるものがあり,給与が増えたり残業が減ったりと,ブラックと言われないようにするための方策が打てる。逆に公立小中学校の先生の仕事は,これも当たり前だが「子供を育て上げる大変さ」なのだ。これは公務員としての使命であり,利潤を追求して何かしらここまで行けばOKといった基準が指し示されるものではないから厄介だ。

だから単純にOA・デスクワーク的な仕事の進め方や,ビジネスコミュニケーションの作法・やり方の比較改善を持って,単純に民間同様の業務改善を図っても,先生方は一向に早く帰れる状況にはならないのだ。

一昨年昨年と,「指導要録」を電子化し,「PTA会計簿」を作り直し,「出欠表」を自動でカウントするようにし,少しでも先生方が早く帰れるようにと頑張ってみた。

とある先生から,「昨年の同時期と比べたら,毎日1時間早く帰れています。ありがとうございます。」との言葉に冷静を装いながら涙が出るほど嬉しい思いだった。

が,しかし,恐らくというか間違いなく,今年はその先生はまたその前の年の勤務時間に戻るだろうと思う。しないといけないことが世の中の移り変わりに合わせてどんどん増えるのだ(小学校は道徳の必修化に英語の必修化,来年はプログラミング授業も加わる)。

教職員以外の一般の方が読まれることもあると思うので,蛇足だけれども書いておくと,公立の小中学校の先生がたの多くは7時から8時前までの間には出勤し(早い人なら朝の6時より前に来ている先生も…),当たり前だけれども夕方4時までは子供にかかりっきり,そこからテストを作ったり採点したり,成績表をつけたり,授業の週計画(週案)を作ったり,はたまた授業進行の指導を受けたりと個人にかかる仕事は山ほどあり,更に中学校は6時7時までクラブ活動の指導が有ったりである。そこに市町村レベルでの研究会(公開授業)の様なものがあり準備をしたりもする。学校の終業時間はどこも5時前ではあるけれども,4時まで子供の相手をしながら,5時に上記の様な仕事終わらせられる様な人は,学校はおろか民間のどこを探してもいないのではと思える。先生たちが学校を後にする時間は敢えて今は書かないけれども,仕事の進め方が要領の良い先生だったとしても,毎日定時で帰れるような事は夢のまた夢という世界なのだ。土曜・日曜にPTA行事など出勤するケースも多々ある状態。

とある先生が私に向かって言ったのは,

「●先生(ICT担当も教員資格は持ってないけれども先生と言ってもらってる),うちの娘が小学校の先生になるって言うんですよ…。止めとけって言ってるんですけども…。」

私が社会人になった頃は,100時間とか120時間とかの残業はざらで,同じ会社の中に月間200時間を越えるような残業をしていた猛者もいた。さすがにそこまでの残業を公立の小中学校で見たことはないけれども,今の世の中一般民間企業でも「80時間というのが過労死ラインとしてブラック企業認定のライン」になりつつあり,それに近い働き方をしている教員がいかに全体への奉仕者だとしても,世の中の適正に合わせて業務改善を図り,働き方改革を行うべき時期なのだと思う。

民間ではバブル崩壊後,IT技術・システムの導入とともに,

業務改善 → BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)
業務改革 → Restructuring(リストラクチャリング)

という形で働き方改革を繰り返し行なってきた。

しかし,利潤追求が目的でなくバブルが崩壊しても国が潰れない限り給料が払われる学校では,特にそれらは行われてきていないのではと想像する。殆どの学校にパソコンは入っているけれども,日常の忙しさで「教職員のITリテラシー向上」は後回しだし,民間企業では必須のデーターベースシステムや基幹業務システムにあたる物は何も導入されてはいない。その証拠に,恐らく全国どこの学校にも情報システム部がない。

フロントエンドの「要録」やら「週案」やら「出欠簿」やらを改善或いはシステム構築したとしても,業務時間の削減は一過性で恒常的な時間削減には結びつかないのだ(時期に応じての改修は必要だけれども)。また教育委員会からの指示で管理職が「早く帰りましょう」というかけ声のもと強制的に定時退校日を決めるのみでは,翌日にしわ寄せが行ったり持ち帰り仕事が増えたりで,子供に対する時間の充実がなくなるだけで何の改善にもならない。
(ワーカーホリック状態の教員も多いから意識改革という意味では全く意味がないとは思わないけれども…)

ブラックな環境から脱するために必要な極端ともとれる理想論(結論)を言うと,

「4時からの1~2時間で校務にかかる事務作業が終わる仕組み(情報システム)」を構築するという事だ。

ルールに則った書類作成(会計簿,出欠簿,健康観察簿,週案,成績表など)の出力がほぼ自動化される仕組みと,本当に頭を使って絞りださないといけない部分以外の書類フォーマット(教材,テスト,指導案,研究資料など)が提示される仕組み

が必要なのだ。相当に費用がかかりそうな話ではあるが,これは地域行政機関がその気になれば無理な話ではない。ただ学校と教育委員会と地域行政の連携が十分にとれればである。これはどんなにエクセルに詳しい先生がいても学校単位ではどうにも出来ない。

国や県の働きかけがないかぎり,或いは賢い行政の長がいる裕福な市町村でないかぎり,難しいのではと思ってしまう。

ただ一つ懸念するのは,(後述するが)教員自身のワーカーホリック状態をどう意識改革するか…と言うことである。

ICT担当が考える業務改善(本当の意味で業務改善を図るには)
・市町村の地方自治体を巻き込んだ小中学校のシステム連携
(今ならクラウド化?学校単位ではセキュリティが守れない?)
・教育委員会でのシステム一元管理・データ活用推進
 データ一元化(学齢簿→学籍簿・健康観察簿→要録→小学校→中学校)
・各学校における一元化されたデータのデータベース的活用
(名簿や成績表など様々な出力に対応)
・教材データベース(地方自治体レベル?県レベル?全国レベル?)
 国がやらないのなら県?県がやらないなら市町村?